「世界が俺を拒絶するんだ」

この春、というには寒すぎるんやけど、この春から、新しく始まった仮面ライダーディケイドは、いつもカメラを持ち歩く変な青年が主人公。
写真を撮りまくるのに、撮る人撮るもの全てが歪むぶれる重なる。
むしろ、狙ってやっとしか思えないような撮れっぷり。
そこでいつも、仮面ライダーはつぶやく。
「この世界も俺を拒絶するのか・・・。」


今日、バイトをやめました。
円満に、というか、先輩涙目。なんかごめん。
「3ヶ月でいいから写真に集中したい。」
と、写真を言い訳にしてみた。
自分でも、これが嘘なのか、嘘じゃないのか、さっきまで解らなかったけど、バイトが終って駅に向かって歩きながら、走り出したい気持ちでいる自分に気がついた。
ひとつ、なにかを終らせたら、100ほど、なにかが待ってる。
今回は、それが、作りたいものを作ってみるっていう、園児のような願望がいちばん強かったからで、作り終えたら、今度はきっとまた、本屋になりたいってフリーターにもどってるはず。

さっきまで、ガルシア・マルケスの「族長の秋」を読んでいたからか、それともずっとレディオヘッドの昔のアルバムを聞いていたからか、なんか、みょうに、清々しい気分で、そしてちょっと悲しい。
「紅のブタのおっちゃん」こと、写真評論家の平木さんがなくなられたからかもね。
自分より先に死んで行く人間に、写真を見せるのは無意味だと思うし、自分の写真の方が自分より長生きしてほしくない。
けど、「どっちかってーと、ブタって言うよりととろでしょ」って自分で言ってたあのおっちゃんに、二度と写真を見せることはないんだと思うと、少し寂しい。
ご冥福をどーのってやつ、祈らないけど、おっちゃんが生きてる間に見れなかった世界を、これからも見続ける。撮るかどうかは、いまは、まだ・・・。